困ったときのヒント「経営」
口頭の下請契約は危険
A設備は大規模な公営住宅工事の4次下請としてB建設と下請契約をしました。
内容は給排水設備工事で期間は10ケ月、工事の進行割合で月単位に現金で支払いを受けることに。しかし、請負契約を書面で交わさず、発注書や注文請書の交換もしないまま口頭での合意でした。最初は現金でしたが、3ケ月後には「資金繰りが苦しい」という理由で、150日の手形で支払うとB建設が一方的に通告してきました。A設備は「職人には現金で日当を払っている」と抗議しましたが、B建設に「いやならやめてもらってもよい」と開直られて、やむなく工事を続行。それから数ケ月後、B建設が「仕様が違う」とA設備に対してやり直し指示、A設備側は「設計通りに工事した。やり直すなら費用はBで」と主張しました。その後B建設は別の業者にやり直しをさせる一方、A設備には該当工事の代金を支払いませんでした。A設備は事務局と相談して、元請けのゼネコン、発注元の自治体と交歩。B建設は「20%の遅延損害金」を控除して支払ってきました。
最近元請と下請業者におけるトラブルが多く発生しています。トラブルをさけるためにも書面による契約の締結が重要で、建設業法第19条で義務づけられています。
内容は①工事内容、②請負金額、③工事着手の時期及び工事完成の時期、④代金の支払い方法などです。
従業員解雇の問題点
失業保険の手続きをしていて、最近多くなってきたのが、解雇による離職の手続きをしてほしいというものです。
解雇とは会社側から一方的に労働契約を解除することであり、退職とはそれ以外の理由による離職の事を言います。
労働者を解雇するにあたって、事業主がしておかなければならない事は、(1)労働者に少なくとも30日前に解雇予告をしなければならない。(2)30日前に予告しなかった場合や即時解雇する時には、解雇予告手当てとして30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。解雇予告手当ての支払いは、即時解雇の場合、解雇通知と同時に支払います。(3)離職票を作成する場合は離職理由欄に解雇と記入した上で異議なしの署名をもらうこと。(4)書面での解雇通知書もしくは退職届に労働者が同意した署名をしてもらうこと。以上のことは忘れずにしておく事が大事になります。
雇用保険上の問題として、解雇等の会社都合で労働者を辞めさせると、雇用関係の助成金が停止されることがあります。
長く続く不景気の影響で、従業員を仕方なく解雇しなくてはいけなくなることもあるかも知れませんが、無用なトラブルを防ぐためにも十分に注意して下さい。
がんばって「未払い代金問題」解決!
設備工事業のYさんはT市で公共工事の5次下請けとして工事を請け負いました。本工事がほぼ終わりかけたころ、4次下請けのA社が倒産。Yさんは工事からの撤収も考えましたが、2次下請けのM社がA社の未払い代金を肩代わりするということで工事を続けることにしました。ところがそれから3ヶ月後、こんどはM社が倒産。下請代金3300万円を受け取ることができまず、未払いのまま残ってしまいました。Yさんは自分の下請には代金を支払済み、運転資金は工事代金で返済することを前提に銀行から借り入れ、たちまち経営は危機に直面しました。相談を受けた事務局は、Yさんといっしょに元請けのゼネコンC社に対して交渉。建設業法にもとづく「立て替え払い」を要求しました。しかしC社は「Yさんとは直接契約にない」、「代金は払い済み」と拒否。以降数回の交渉をおこないましたが、その態度は変わりませんでした。
その後、T市の市会議員、地元の国会議員などの協力も得て監督官庁である国土交通省整備局に要請行動。局側から「問題があると認識している。建設業法にのっとり口頭で事実上の勧告をおこなう」という回答を引き出しました。その結果、3次下請けのS社から「前向きに検討したい」との回答があり、ねばりづよい数回の交渉の結果、未払い代金のうち2200万円をS社が「立替払い」することで決着しました。
Yさんは「なんどももうだめかと思いました。そのたびに従業員の顔がうかび、負けるかと思い直した」、「事務局をはじめたくさんの方に助けてもらった。6ヶ月かかったががんばって本当によかった」と喜んでいました。
フランチャイズの落とし穴
Aさんは2年前DPEのフランチャイズ(FC)に加入しました。開業前の説明では、立地条件からいってオープン1年後には月商200万円は堅いというFC本部の売上予測を担当者から提示されました。それなら十分に採算が取れるということで、100万円の保証金をつんで加入。高額な機械をリースで購入して営業を開始。
しかし、売上は当初予測の3分の1。Aさんが懸命の営業努力をして、法人などの大口契約をとってきても予測の半分にも達しませんでした。しかも本部から割高な資材などを購入することが契約上義務付けられているため、赤字経営が続きました。たまりかねたAさんは、仕入先を安いところに変更。これを知った本部は契約をたてに購入を何度も迫りましたが、Aさんが「商売にならない。脱退したい」というと、急に値段を下げてきました。Aさんはそうした態度に不信がつのり、脱退すると口頭で通告。それ以降、本部からは連絡はありませんでした。
Aさんはもっと条件の良い場所に移ろうと、7キロほど離れた駅前によい店を見つけました。これから「がんばるぞ」と思っていた矢先、本部から契約違反を理由にした賠償請求が内容証明で送られてきました。同時に本部が機械メーカに圧力をかけてメンテナンスを受けられなくなり機械がストップ。営業中止に追い込まれました。現在Aさんは事務局と相談して、本部と裁判で争うことを決意。Aさんは弁護士、事務局の3者で、契約の無効や損害賠償など訴訟に備え資料の作成、検討をおこなっています。













